身近な食べ物のお話
冬の食べ物
ブロッコリーほうれん草ゆり根やま芋白菜くわい春菊きたあかり金時人参

   
  
  きたあかり (じゃが芋)

 4年前に職場の旅行で北海道 に行った時、このジャガイモに出会いました。出店でジャガバタにして売っていたのと、泊まったところで食事に出されたのを食べていっぺんにファンになりました。香りが良く柔らかで、それまでジャガイモ嫌いだった私をとりこにしてしまったのです。「きたあかり」というジャガイモは、男爵芋を改良したもので、別名「 ゴールデンポテト」と言い、約10年前に作られたそうです。甘味がしっかりしているので「栗ジャガ」とも呼ばれています。外見は男爵芋と見分けがつかないのでうっかり見落としているかもしれませんが、関西では、昨年あたりから店頭でちょくちょく見かけるようになりました。

 性質は男爵芋に似ていて、甘く、水分が多い粘着性のある肉質ですので、芋をつぶして使う料理のポテトサラダやコロッケなどには最適ですが、煮物やポテトチップなどには向きません。ところが私はこれで炊いた肉じゃがが大好きです。煮崩れてしまうので、よそ行きには出来ませんがはまってしまう味です。やわらかいので電子レンジにかけると短時間でやわらかくなります。
 イモの中ではダントツにカロチンとビタミンCが多く、食物繊維もたっぷり含まれていますので栄養価の高い食材です(ビタミンCは男爵の1.5倍)。風通しの良い暗いところで保存しないと表面が緑化して味が落ちてしまいます。また、芽が出やすい欠点があるので、りんごと一緒にポリ袋に入れて保存するとよいでしょう。りんごからでる成分が芽の成長を抑える効果があります。
 きたあかりの生みの親である男爵は、現在作付面積の最も多いジャガ芋で、表面がざらざらしているものほどでんぷんの含量が高く、ほくほくした食感になります。サラダ、粉ふき芋、コロッケ等に向いています。(男爵の名前の由来は、明治41年、函館郊外で農場を経営していた「川田男爵」が初めてイギリスからこの品種を持ち帰ったことからきています)
 おなじみのメークインは、玉の形が横長で、芽のくぼみが浅く表面がきれい、煮崩れしにくいので、煮物、カレー、シチューなどに向いています。ジャガイモとひとくちに言ってもその品種はいろいろです。料理に合わせて上手に使い分けてください。 


    
  
春 菊
          しゅんぎく(春菊)と、きくな(菊菜)はおなじもの??
 同じものであると言う人と、違うという人と両方あります。菊菜はもともと「京菊菜」と呼ばれる京都の伝統野菜で、春菊は広島県などで栽培されていたもののようです。葉の切れ込みの細かさ、葉の厚さなどに違いがあることから、はじめは違うものであったのが、最近ではほとんど区別されなくなっています。特に、大阪ではまったく同じものとして店頭に並んでいます。春菊とかかれたコーナーにも菊菜とかかれたコーナーにも同じものが並んでいるのです。サニーレタスとレタス、下仁田ねぎと九条ねぎの違いと考えてください。
 春菊は軟弱野菜の代表で、日持ちが悪く長距離輸送に適さないので、大都市近郊で多く生産されています。関西、とくに大阪の堺、東大阪は春菊の産地として有名です。大阪では長居公園の近くで春菊を専門に栽培している西野孝仁さんという方がおられ、(ホームページ:kuidaore-osaka.com)当会でも講師をお願いしました上野修三氏が主催する「浪速魚菜をたべよう会」にも参加され、大阪の伝統野菜のよさをひろめ、生産に取り組む農家の活性化を図ろうという活動を行っておられます。西野さんは外食した際、春菊の料理が出されたら、自分の畑から出荷されたものかどうかが、判るそうです。
 春菊は鍋物に欠かせませんが、ちょっと目先の変わった食べ方として、生産者西野さんの奥様お勧めの美味しい春菊料理を紹介します。

○春菊のナムル:春菊を食べやすく切り、塩もみする。汁を絞り、たべる直前にごま油とゴマで和える。
○春菊と豚肉の炒め物:春菊を食べやすく切りさっと湯がく。豚肉とともに炒め、塩、醤油で味付けする。
○春菊とツナのサラダ:春菊を食べやすく切り、さっと茹で、ツナを加えマヨネーズで合える。
 緑黄色野菜の代表で、カロチン(ビタミンA)、ビタミンB2、カルシウム、鉄分を多く含む栄養価の高い野菜です。特にビタミンAは春菊を100g食べると1日の必要量が摂れます。白米に欠乏するアミノ酸の一種「リジン」の含量が高いのも特徴です。
 保存方法は、ぬらした新聞紙に包み、冷蔵庫に入れるのが一番ですが、鮮度の低下が著しく、3日の間にビタミンCは半減してしまうので早めに食べることをお勧めします。


  
  ブロッコリー


  ブロッコリーは、2千年くらい前にローマで食べられていた歴史のある野菜ですが、日本に入ってきたのは明治時代で、本格的に栽培されるようになったのは第2次世界大戦のあとです。今では、生活の洋風化と栄養価の高いことで、日本人の食卓ではすっかりおなじみの野菜となりました。

野生キャベツの栽培変種で、アブラナ科です。カリフラワーはブロッコリーをさらに改良したもので、数年前まで店先でよく見かけましたが、栄養価の点で優位なブロッコリーに押され、近頃めっきり見かけられなくなりました。最近輸入物が増え、年がら年中出回っていますが、品質の良いものが出回るのは十一月から三月で、ブロッコリーは霜の季節の野菜です。冬場に冷蔵庫に入れておいても3〜4日くらいで全体が黄ばみ、花が咲いてきます。こうなるとずいぶん味が落ちてしまうので、新鮮さが第一です。たまに花蕾が紫色のものを見かけますが、霜を受けたせいで、ゆがくときれいな緑色に戻ります。

栄養的には、ビタミンCが豊富なことで注目されています。その含量はレモンの2倍で、100ミリグラム中、生で120ミリグラム、茹でても54ミリグラムと、1日の所要量が簡単にとれてしまいます。普通は加熱して食べますが、料理法によってビタミンCの損失率が違います。塩を入れた熱湯で5分ゆでた時、46%、塩と小麦粉少々を加えてゆがいた時、33%、蒸した時、6%と蒸すことによってビタミンCの損失はぐんと少なくなります。どちらにしても加熱時間を短くすると、ビタミンCの損失は小さくなります。また、ビタミンEも豊富に含まれていますので、Cとの相乗効果でしみやしわを防ぎ、若々しい肌を保つのに役立ちます。そのほかビタミンCは免疫力を高めストレスへの抵抗力をつけます。

また、抗癌作用があることで注目されている「スルフォラファン」はアブラナ科の野菜だけに含まれています。アブラナ科の野菜には、わたし達の食卓を豊かにしてくれるキャベツ、大根、蕪、白菜などたくさんありますが、スルフォラファンはブロッコリーの中に最も多く含まれています。

ゆがいても色のきれいなことで、お弁当の素材にはもってこいですが、その他様々な料理に使用されています。茎は料理にあわせ色々な切り方をして、揚げ物、スープの具、炒め物、酢味噌和えに、花蕾はスープやシチューの実に、サラダ、掻き揚げ、グラタンとなんにでも使えます。今年は暖冬のため、ブロッコリーの生長が早く値段も暴落しましたが、こんな時こそしっかり食べてほしい食材です。




  ほうれん草


 アカザ科の1,2年草。もともと西南アジア原産でペルシャ、アラビアを経て15世紀ごろヨーロッパに普及しました。アメリカでは19世紀初めから広く栽培されるようになり、主に缶詰加工用として一般の人たちに広まりました。ここであの有名な『ポパイ』の漫画が登場するのです。『ポパイ』を見ていると、元気の出ないとき、ほうれん草の缶詰さえあればたちどころにスーパーマンに早代わりできるかのような錯覚に陥りますが、日本ではほうれん草の缶詰は市場にはなく、生鮮野菜として販売されています。

 わが国には、江戸時代末期に中国から東洋種が伝わり、明治以降に西洋種が入って来ました。店頭に並んでいるのは、夏場は西洋種、冬場は東洋種、またその雑種もたくさん作られており、年中ほうれん草が絶えることはありません。しかし、ほうれん草は元来冬の野菜で、耐寒性が強く、霜にあたると甘味が増すので、12月から4月くらいが旬になります。中でも、根の赤いものは柔らかくあくも少なくおいしいのですが、最近はそういう品種がめっきり少なくなったのは寂しいことです。どんな野菜も、旬がなくなるとおいしくなくなるという傾向にあるようです。

 栄養的にも優れた野菜で、緑黄色野菜の代表としてあげられるように、ビタミン類、鉄分、クロロフィルの含有量が多く、ほうれん草100gで、これらの成分の成人男性の1日の必要量はじゅうぶんだというほど栄養価の高い野菜です。消化も良いので、虚弱体質の人の体質改善に、病人の栄養補給に最適です。根元の赤い部分には、マンガンが多量に含まれており、骨の形成、肝臓の機能強化、神経のバランスを整えるなどの働きがあります。

 尿路結石の原因やカルシウムなどのミネラル成分の吸収を阻害すると言われているシュウ酸の含有が高いのが難点ですが、結石予防の食事法というのがあります。体内で結石ができるのは、カルシウム1に対しシュウ酸2の割合になったときだけですので、カルシウムを少しでも多くとっていれば大丈夫。カルシウムを多く含むゴマを使った「ほうれん草の胡麻和え」や、同じくカルシウムたっぷりの牛乳を使った「ほうれん草のクリームスープ」などは最適の料理法。鰹節の中に含まれるリジンというアミノ酸には結石の予防効果があるので、ほうれん草にふりかけてたべるのがよろしい。また、ゆがくなどの下処理をすることによってシュウ酸はある程度は抜けますので、大量に摂らなければ心配いりません。


 
 ゆり根


 「百合」の字は百合の根の燐片が多く重なっているところから当てられたといわれます。また、風に揺れる姿から「ユリ」と呼ばれるとも言われています。十月ころに収穫したものを冷暗所に保存しておき、順次出荷していきますが、十一月から二月頃のものが最も味が良いとされます。保存は新聞紙に包んで、風通しの良いところにおいておくとかなり長持ちします。

 古くから強壮、健胃、咳止めなどの薬効があるとされ、江戸時代の中ごろから盛んに栽培されるようになり、長崎の出島からはオランダに輸出されていました。西欧ではもっぱら観賞用で食べる習慣はないようです。日本でも、京料理を中心に関西では吸い物や茶碗蒸し、炊き合わせなどに良く使われますが、関東ではあまり食されないようです。

 日本国内の山野で、ユリはいたるところに自生していますが、さまざまな種類があり、食用として栽培されているのはヤマユリ、コオニユリ、オニユリです。鑑賞用に栽培されているユリの根は苦味があって食用には適しません。

 昨年コオニユリと思われるユリの苗を川原から採ってきて植木鉢で栽培したところ、オレンジ色で黒い斑点のある立派な花が咲きました。花の色と形を植物図鑑で調べても間違いなく食用の‘ユリ’だったのですが、十一月に掘り起こして出てきた百合根を料理してみたら、苦くて苦くてとても食べられる代物ではなかったのです。土の中から出てきた百合根は店先に並んでいるものとなんら遜色はないのに食べられないのが不思議です。機会があったら植物の専門家に尋ねてみようと思っています。


  
  やま芋


ヤマイモは、長形種のナガイモ群、偏平種のイチョウイモ群、塊形種のツクネイモ群があって、すべて中国原産。山野に自生するジネンジョは日本原産でヤマノイモと呼び、現在では入手困難。

何年も前に泊まった山の中の一軒宿の温泉で出された夕食の汁物の中にジネンジョをすりおろしただんごがはいっていた。強い粘り気があり、もち米だんごだとばかり思っていたが、ヤマノイモと知ってびっくり。それまで市販品の水気の多いヤマイモしか知らなかったので、汁の中でだんごになるなんて信じられないおいしさ。

 三重県の美杉村に農地を買って足しげく通うようになって、地元の農業祭などでこのヤマノイモとはよく出会うようになった。長い立派なものだと一本一万円くらいする。近所の人がたまに山仕事の帰り道に「掘ってきた」と言って置いていってくれる。栽培品より細いので、皮をむくとますます細くなる。おろし金でおろすと、もり上がってだんごのような形になり、しばらくそのままおいておくと、紫色のあくがでてきて、見た目はきたならしいが特上の美味。

 ヤマイモはその形からいろいろな種類に分けられるが、土壌の質と水量で味と形がきまる。即ち砂質や火山灰質の土壌では肉質の荒い大味な芋になり、粘質な土壌では粘りがあってこしの強い芋になる。雨が多ければどんどん伸びて棒状になり、雨が少ないとイチョウ形かばち形が多くなる。店頭でいろんな形のものが並んでいるが、種類が違うのではなく栽培条件の違いでこんなにも差がでてくるそうだ。

 ヤマイモのことを別名「ヤマウサギ」とも呼ぶ。これはヤマイモを食べると精がつくといわれているためで、漢方薬でも「山薬(サンヤク)」と呼ばれ、滋養強壮作用をもつ薬として使われている。

 昔から、とろろに麦めしは何杯食べても腹をこわさないといわれていた。ジャガイモとか小麦とか普通のでんぷん類は加熱しないと消化が良くないのだが、ヤマイモにはでんぷん分解酵素のジァスターゼがたっぷり含まれているため、むしろ生食の方が消化がいいくらいだ。ヤマイモに含まれるジアスターゼは大根とは比べものにならないほど多く、いっしょに食べた他の食品の消化も助けるほどだ。

 またジネンジョのつるにはムカゴという小さな芋がつく。昔の人はよくごはんにいれて炊き「ムカゴ飯」といって老人の健康食とされた。ヤマイモもムカゴもでんぷんと良質のたんぱく質をたっぷり含み、また根菜類に多いミネラルの含有量も高い。

栄養価と効用の点では、ナガイモよりもイチョウイモ、ツクネイモ、ジネンジョと粘りの強いものほど価値が高いことは言うまでもない。



  
白菜


鍋物の季節になると売り上げが好調になる野菜のナンバーワンが白菜・・・・
昨年は」暖冬で、白菜の消費が少なく、安値が続きました。

 緑黄色野菜に比べ、色のうすい白菜はあまり栄養はなさそうですが、実は、ビタミンCはミカンに近い量を、カルシウムはニンジンやセロリに匹敵するくらい含んでいます。

量がたくさん食べられることと、貯蔵がきくことで長期航海の船員さんたちに愛用されています。

 消化がよく、煮込むととろけるほどやわらかくなるので、胃腸の弱い人や病人食によく用いられています。

 また、のぼせを下げ、便通をよくするので、高血圧の人にもおすすめです。

 精進料理では、ダイコン、豆腐、白菜は、「養生三宝」として貴重な食品とされています。
ロール白菜
「ロールキャベツ」は代表的な家庭料理のひとつですが、我が家ではいつもロール白菜にしています。
 キャベツよりも包みやすく、葉をはがすのもはがしやすいからです。




  
くわい



昔は、河内一帯の田んぼの畦にどこにでも見かけられたのが、「くわい(慈姑」です。最近はめっきり見られなくなりました。

正月前は、「目が出るように」という縁起をかついでおせち料理に使われるので、びっくりするほどの高値の高級野菜です。正月がすぎるやいなや一盛いくらの安値に落ちてしまいます。
このように正月だけの食材としか考えられていませんが、ちょっとひと工夫して安値のこの時期に食卓にのせてやってください。

 先日行った料理屋さんのさき付けとして、昆布で編んだ小さな籠の中に入って出てきたくわいせんべいの美味しかった事。

そういえば母が好きだったふきよせおかきの中にも、くわいせんべいが必ずはいっていたっけ。

 中国から渡来したくわいは平安時代から貴重な野菜として栽培されてきました。

主成分はでんぷんですが、ビタミンB1、リンが比較的多く含まれています。シュウ酸石灰を含んでいて独特の苦味があり、これを除くため茹でこぼす必要があるので、面倒がられて敬遠されるのでしょうか。
米のとぎ汁で茹でこぼしするとあく抜きにはなおよろしい。
くわいせんべい

生のまま皮をむいて薄切りにし、水に放ってあくを抜き、水気をよくきってから油で揚げます。
密閉容器に入れて冷蔵庫にでも入れておくと長持ちします。
酒の肴にももってこいです。




金時人参

 人参には西洋種と東洋種があります。ルーツをたどれば同じもので、もともとアフ
ガニスタンの高原にあった野生人参をペルシア人が持ち帰って栽培したのが始まりで、そこから西に行ったのが西洋人参、シルクロードを旅して中国にわたったのが東洋人参というわけです。太短くてオレンジ色の人参がヨーロッパ種の西洋人参で、細長いものが東洋種です。金時人参は東洋種の代表で、深紅の色が料理に彩を添えるのにもってこいです。ひと昔前まで金時人参も店頭でよくみかけたものですが、細長い体形が輸送に不向きなため、西洋人参に取って代わられてしまいました。関西から九州にかけて栽培されていますが、関西人の好みに合うのか消費されるのは主に関西、それも大阪が中心です。大阪府の木津川付近で作られている人 参は「大阪人参」とも呼ばれているほどです。

人参はカロチンの含量の高いことで知られています。英語で人参のことを【キャロット】といいますが、これは【カロチン】からきています。金時人参は目が覚めるような赤色ですのでさぞかしカロチンの含量が高いと思いきや?あの赤色はトマトの赤色と同じく抗癌作用で知られるリコピンなのです。もちろんカロチンも含まれていますが、部位によって含量は違います。肩のところが最も多く、根っこの先にいくほど少なくなります。また、土から掘りあげて8〜10日目ころよりカロチンが増えはじめ、その後2日くらいがピークで、後は日ごとに少なくなっていきます。

カロチンの効用としては、疲れやすい人の体力増強に有効で、粘膜保護作用があるため風邪の予防にも効果を発揮します。また、疲れ目にも良いようです。

人参にはビタミンCの酸化酵素が含まれているため、ビタミンCを含有する食材と一緒にするとCの効力が失われてしまう危険性があります。これを防ぐには、酢を加えるとか、熱をかけるなどして酵素の効力をなくすことが必要です。生の人参とビタミンCを多く含有する野菜のサラダにはちょっぴりすっぱめのドレッシングを使うようにするとよいでしょう。

カロチンの吸収を高めるためには、油料理がおすすめです。人参の精進揚げや中華の炒め物などはいかがでしょう。