身近な食べ物のお話
夏の食べ物
ごまかぼちゃトウモロコシ茗荷ガーデンレタスジュウヤクアサリ



  鮎(あゆ)

 解禁間近い鮎。天然もので味がのってくるのは7〜8月。土用に入ってから20日間のものを最上とします。

養殖ものとの見分け方は、全体に黄褐色で細身(養殖ものは青黒く太め)胸びれの上の黄色の斑紋が明瞭なものが天然もの。

典型的な一年魚で、春、川を上った幼魚は、夏から秋にかけて15センチ前後に成長し、9〜12月に砂底に産卵を終え死にます。

養殖ものと言っても最近ではその手法に改良が重ねられ味もずいぶん良くなってきました。以前は養殖アユは脂がのりすぎて香気が少ないと言われていましたが、これはえさにイワシを用いていることと運動不足が原因です。

これを補うために水ごけと同じ藻類を配合した飼料が開発され各養殖場で使用されるようになってきました。また適度な運動をさせるために、水車を利用して水流をつくり、酸素の供給も行うことにより身のしまったアユに育成します。

出荷前にはビニールハウスの養殖槽から池に移してエサを与えず、それまで与えていた配合飼料を消化させ、臭味をぬきます。同時に、お腹のすいたアユは、池の中の藻類を食べるので、アユ特有の香りが出ます。

 ここまで養殖方法に工夫がこらされているとは、日本人は本当に鮎好きな民族なのでしょう。

 アユの代表的な食べ方は塩焼きですが、生きた鮎が手にはいった時に背ごしにするのもよいでしょう。また天然鮎でしかつくれない「うるか」(アユの塩辛)は珍味中の珍味とされていますが、食べたことがないのでお話できません。食されたことのある方は教えて下さい。
背ごし
生きたままの鮎のウロコ・ひれをとり、胴を1ミリくらいにそぎ切りにし、洗いにして、柚子酢で食べる。



  ごま


   大豆以外に植物性の良質なたんぱく源としてよく使われるのがごま。ごまには脂肪の酸化を防いだり、老化を防止するビタミンEや身体の疲れを取るビタミンB1が豊富に含まれています。一般的に市販されているごまには、白ごまと黒ごまがありますが、他には黄金色の金ごまがあります。この金ごまはごまの中でも最高級の品種とされ、味とともに香りが特によいのが特徴です。

金ごまクッキング
●すりごまにマヨネーズとしょうゆを少々まぜてサラダに。
●納豆が苦手な方でもすりごまをまぜれば、においが気にならずよりヘルシーに。
●ごまふりかけにさらに、ちりめんじゃこや桜えびをプラスして我が家の味のオリジナルふりかけを。



  かぼちゃ


 かぼちゃは、ポルトガル人によって豊後(大分県)の戦国大名、大友宗麟に献上されたのが日本伝来の最初です。17世紀には九州一円で栽培されるようになり、その後全国的に広がりました。いくつもの名前を持つ野菜で、南蛮人がもたらした瓜という意味で「なんばんうり」、中国からきた野菜と思い込んだためか、「なんきん」 「唐茄子」、東南アジアのカンボジア由来の野菜ということで「かぼちゃ」などと、さまざまに呼ばれていました。この時代に伝わったかぼちゃは、今では「日本かぼちゃ」と呼ばれ、近年主流となった「西洋かぼちゃ」とは種類が違います。

 かぼちゃは収穫してすぐに食べず、熟成が必要です。収穫後風通しの良い日陰に並べ乾燥し、その後冷暗所に移して保存します。1〜2ヶ月くらい置いたものが一番おいしいときで、その後かぼちゃの中の糖質が徐々に分解して水と炭酸ガスになって、水っぽい水かぼちゃとなります。おいしいかぼちゃの見分け方として、へたが乾きコルク状になったもので、皮が硬く、縦にひびがはいり、大きさのわりに重いものほど良品です。

 かぼちゃは、和風、洋風、中華のいずれの料理にも合う数少ない野菜の一つです。日本料理では煮物が一般的で、小豆と炊き合わせた、いとこ煮、鶏肉やインゲンとの炊き合わせ、種を取って詰め物をして蒸す、といった料理法があります。また揚げ物や、コロッケの材料、かぼちゃのポタージュなども手軽でおいしいメニューです。生でも食べられるので、細く切って刺身の妻にしたり、スライスしてサラダにしてもおいしくいただけます。日本かぼちゃの場合は水分が多く、ねっとりとした味わいが身上なので、薄味の煮汁でじっくりと煮含めるとおいしい。西洋かぼちゃなら牛乳で煮るのも目先がかわっています。牛乳でできた膜が紙蓋の役目をしてくれるため全体に均一に火がとおりふっくら仕上がります。

 かぼちゃの種には亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛欠乏は味覚異常や皮膚障害を引き起こすだけでなく、精子の合成能が低下し男性の不妊症の原因にもなります。種のしっかりしたかぼちゃに出会ったなら、油で炒って食べてみてください。

 最近店頭でもよく見かけるようになったズッキーニはキュウリではなくかぼちゃの仲間です。ご存知でしたか?



  とうもろこし(玉蜀黍)


 とうもろこしにはいろいろな種類がありますが、一番人気なのが、スイートコーンです。消費者の要望に答えて、最近ではさらに甘い品種の「ハニーバンタム」 「バイカラコーン」 といった品種も出てきました。サラダや中華料理でおなじみの「ヤングコーン」は缶詰が一般的ですが、これは「スイートコーン」の若い穂をはや取りしたものです。

 とうもろこしの原産地は中南米といわれています。コロンブスが新大陸発見の際、種をスペインに持ち帰りヨーロッパに広がりました。日本には、16世紀にポルトガル人によってもたらされ、まず九州や四国で栽培されました。明治の初めにアメリカから輸入された品種が北海道で栽培されるようになって、現在に至っています。

ある会社が、「子供の好きな野菜、嫌いな野菜」のアンケートをとったところ、好きな野菜のトップはとうもろこしでした。子供にとっては、独特の甘味やかわいい形、明るい色などが魅力なのでしょう。でんぷんが主原料で糖度が高く、胚芽にはビタミンB1、B2が多く含まれる栄養たっぷりのとうもろこしは、まさに成長期の子供に食べさせたい食材のひとつです。

 とうもろこしを栽培するには、昼と夜の寒暖さの多きい土地が適しており、甘味がずいぶん益します。しかし、収穫期の時間の経過で、この甘味は激減してしまいます。どのくらいの減り方かといいますと、収穫後、気温10度で1日置いておくと糖度は17%減少します。気温が30度では50%低下するといわれています。

山形県の知人のお宅を訪問したとき、びっくりするほど甘くておいしいとうもろこしをよばれました。そのときのとうもろこしの調理法は、まずたっぷりの水を火にかけ、沸騰寸前に庭に出て実ったとうもろこしをもぎ取り、湯の中に入れて湯がく、というものです。とうもろこしをおいしくいただく調理法として、これ以上のものはなく、とにかくもぎ取った後できるだけ早く下ごしらえをすることです。すぐに食べられないときは、下ごしらえしたものを冷凍保存するのが一番です。

とうもろこしを主原料にしたバーボンウイスキーは、アメリカの代表的なウイスキーで、西部開拓時代にケンタッキー州のバーボンで生まれたのでこの名がつけられました。バーボンウイスキーには、とうもろこしが原料の6・7割使われており、蒸留された後のウイスキーは、内側を焦がしたホワイトオークのたるの中に2年以上寝かされてから出荷されるので、色が濃くなり独特の香りがつくのです。



  茗荷(みょうが)

 ショウガ科の多年草で、日本では本州から沖縄まで各地に自生し、雑草同然、どんなところにも生えている。インドや中国にも野生種がみられるが、野菜として栽培しているのは日本だけである。

 三重県にある我が家のうら山にも7月から8月のはじめ、土の中からもっこり顔を出す。盆すぎには白い花をつけるが、花の開いたミョウガはいわばぬけがらで、やわらかくなりすぎて風味も落ちる。
 昔から「ミョウガを食べると物忘れをする」といわれているが、これには次のような話が有名である。

 釈迦の弟子、周梨槃特(スリハンドウ)は、仏道に優れ、悟りまで開いた人物だが、どういうわけか自分の名前を忘れる。不憫に思われた釈迦が、首から名札をかけさせたが、彼はそのことさえも忘れてしまう。とうとう死ぬまで自分の名を覚えることができなかった。

彼の死後墓に見なれぬ草が生えてきた。そこで一生自分の名前を荷って苦労したということから「茗荷」(ミョウガ)と名づけられたという。
 そんな由来があるためか、今でも市場ではミョウガ「ばか」とか「ばかっこ」とよばれている。しかし、ミョウガともの忘れの因果関係はなく、おいしいので食べすぎることのない限り、身体にとって悪影響はありません。

むしろ、アルファピネンという精油成分を含んでいるので、独特の苦みと芳香があり、夏の食欲不振をふきとばしてくれます。
刻みミョウガ
細かくきざんで、だししょうゆとかつおぶしをかけて食べますと、簡単でおいしい一品になります

ミョウガのかす漬け
ミョウガを洗い塩少々をまぶす、かす床に朝つけると翌日食べられる。

ミョウガの天ぷら
洗って水気を切ったミョウガをたて二つ割りして天ぷら粉をつけ、強火でからっと揚げる。

ミョウガの酢づけ
沸とうした湯の中でさっとゆがき、塩少々ふり、酢・水・さとうを1:1:0・5の割合でまぜたあと酢の中に1日以上つけこむ。色もきれいな1品になります。

                                                              
                                                              

  
    ガーデンレタス

  レタスは紀元前6世紀のペルシャ王の食卓にすでに供せられていたと言われるくらい 長い歴史のある野菜です。日本では最近献立の洋風化が進み、レタスはなくてはなら  ない野菜になりました。レタスを生で食べるのは世界的に共通しており、サラダや肉料  理の付け合せには欠かせない存在です。年中店頭から消える事はなく、いったい旬が いつなのかわからない野菜でもあります。
  キャベツはアブラナ科ですが、レタスはキク科です。成長して花をつけるとすぐわかる のですが、1〜2センチのキクに似た小さな黄色の花つきます。花びらの一つ一つに白 い冠毛のついた種がついていて、タンポポの綿毛のように空中を飛びます
  レタスの仲間全体を和名では「ちしゃ」と呼び、大きく分けると4種類あります。@茎ちし ゃ、掻ちしゃなどのステムレタス A立ちちしゃのコスレタス B葉ちしゃ、サニーレタス などのリーフレタス C玉ちしゃの玉レタスですが、平安時代、日本で食されていたのは 今のレタスとは異なり、下のほうの葉から掻きとって使う「掻きちしゃ」でした。
  玉レタスが主流になったのは戦後のことで、今では全国で栽培され地います。玉レタ  スには、堅い球になるクリスプヘッド型と、ゆるい球になるバターヘッド型とがあり、日本 では前者えお「レタス」、後者を「サラダ菜」と呼んでいます。
  最近良く見かける乾燥野菜の「山くらげ」は一体なにから出来ているかご存知ですか  道の駅や、御土産やさんの店頭には、たいてい置いてあります。私はずっと、中国特産 の伝統野菜だと思っていたのですが、実は伸びたレタスの軸だったのです。ステムレタ スのくっきを細かく切り乾燥したもので、今流行のエコクッキングの先端を行く食材では ありませんか。最近では「サンジャーサイ」、「皇帝菜」などと名づけられ、スーパーなど  でも販売されており、お湯で戻すと3〜4倍に増え炒め物やサラダなどに使われており  ます。レタスの軸ですから、食物繊維の含有量も高く、健康食材ではありますが、なんと 上手な利用方法を考え出したものです。
  レタスは鉄の包丁などで切らずに手でちぎったほうが、切り口の変色が防げて美味し くたべれます。生食のときは冷水さらしてパリッとしたところで水分を切って食卓へ。お  気に入りのドレッシングがあればいくらでも食べれます。最近我が家ではまっているの  は、レタスを水炊きとか鍋物に使うこと。少々に過ぎてもしゃきしゃき感が残り子供にも 人気です。


  
   
  アサリ
   

アサリの美味しい季節は、45月と1011月です。子供のころ、春休みから5月の連休にかけてよく潮干狩りに出かけたものです。まだまだ水は冷たい季節ですが、アサリを掘り始めると夢中になってずぶぬれになったものです。夏場は産卵期に当たるため毒性が強くなり、食中毒を起こしやすいのでしっかり加熱調理することが大切です。
 食料とされてきた歴史は古く、縄文時代にさかのぼります。あちこちで発掘されている遺跡から発見される貝塚の中で一番多いものがアサリの貝殻だそうです。  成分の特徴は、カルシウム、鉄、リン、ビタミンB,B12の含有量が高いことです。最近注目されている。味覚や臭覚を正常に保つ亜鉛も豊富に含まれています。特にビタミンB12は葉酸と協力して赤血球の産生に働きます。不足すると新しい血液が出来にくくなると同時に消化不良や下痢の症状がおき、中枢神経系にも障害が生じてきます。なんといっても、ビタミンB12は体内では合成できないので食品から摂らなければなりません。ところがこの成分を含有する食材が少なく(レバー・シジミなどに含まれていますが)、そのためアサリは貴重な食材です。また、アミノ酸の1種、タウリンも見逃せません。タウリンは、血液中の余分なコレステロールを排除するため、血液の粘度を下げ、動脈硬化を予防し、肝臓の解毒機能を助け肝機能が正常に働くよう協力します。血圧が高い・中性脂肪が気になる・血糖値が高い・肝機能が衰えてきている人にお勧めです。
 貝は生きていることが絶対条件です。アサリは塩水(水1リットルに対し塩20g)に浸け、口を開かないのは死んでいます。貝殻は意外に汚れているものです。ボウルに入れ塩を振り、殻をこすり合わせて洗いましょう。汁物をつくるとき、身にうまみを残したいときは煮立った湯に、汁にうまみを出したいときは水から入れて加熱します。
 最近このアサリが日本の海から激減しています。原因は地球温暖化と水質汚染。あちこちの水質検査施設では、汚染の程度を測定するためにアサリを使っています。即ち汚染された水の中にアサリを入れ、生存率を計算して水質の汚染度を測定するもので、それほどアサリは水質汚染に敏感な生き物です。潮干狩りに行きたくても、昔の海岸線は、ごみだめのようになっていて、水は家庭排水のため泡立っています。こんなところでとてもアサリが生息できるとは考えられません。店頭に並んでいるアサリはたいていが北朝鮮産。北朝鮮と日本の国交が怪しくなってきたら、アサリ好きの人や、深川丼(アサリを炊き込んだご飯)屋さんが先ず悲鳴を上げるに違いありません。
 近場で潮干狩り楽しめる環境を取り戻したいものです



 
  ジュウヤク(重薬・十薬)


梅雨時、うっとおしい季節ですが、ふと目を裏庭の植え込みの足元にやると、ジュウヤクの真っ白な花が咲き誇っています。この白い花弁のように見えるのは花びらではなく、実はがくなのです。昨年はひょろひょろっとして元気がなかったのですが、今年は天候が合ったせいか勢いよく繁っています。じめじめしたところにはびこり臭いがきついためかあまり好まれない植物ですが、昔からどこの家庭でもさまざまな薬効を期待して使っていました。私の家でもわざわざ玄関の植え込みの下で育てています。それと言うのも、このジュウヤクが、虫刺されのかゆみ止めに実によく効くからです。市販のかゆみ止めの軟膏なんかよりよっぽど効果大です。家の中に蚊が跳び始める今頃の時期には、ジュウ
ヤクなしではいられません。使い方の秘伝をお教えいたしますと、先ず新鮮な生葉を2〜3枚摘んできまして、アルミホイルで包んでオーブントースターで、5分くらい焼きます。取り出してホイルを開くとやわらかくなってぬるっとした感触のものになります。これを虫に刺された処に広げ、バンソコウなどで止めておきます。貼っている間はうそのようにかゆみは止まりますが、ジュウヤクの水分がとんでしまうとまた痒くなります。貼りかえを2・3回繰り返すうちに治ってしまいます。また、いろんなものにかぶれた時、蕁麻疹、便秘、胎毒などには煎じた汁を飲むとよく効きます。                                    日本三大薬草に、ジュウヤク、ヨモギ、オオバコがあげられますが、いずれも生命力の強さでは右に出るものがありません。畑に生えてくる蓬を抜いて、他の雑草と一緒に積んでおくと、一雨来ると蓬だけは再び立ち上がってきます。近所の農家の人曰く、蓬だけは抜いたら焼いてしまわないとまたすぐはびこってくるそうです。ジュウヤクも同じく雑草として抜いても抜いても、根は地下を縦横無尽に這っているものですから、こちらを抜いてもあちらで芽を吹き、あちらで抜いてもまた別のところで繁殖するといった具合です。こんなに旺盛な生命力ですから、私たちの体にもエネルギーを与えてくれるのでしょう。              夏場はジュウヤクと焙じはと麦茶を常飲しています。噴出すような汗が出る今頃の季節にはこのお茶に塩を加えて、ペットボトルなどに入れて持ち歩き水分補給すると夏バテ知らずです。