漢方の話
風邪の季節の葛根湯
風邪に、即効性が期待できる代表的な漢方薬に「葛根湯」(かっこんとう)があります。

「漢方は副作用がないけれど、長く服用しなければ効果が現れてこない。」とよく言われます。しかしこれは大きな間違いです。
漢方薬には副作用もあれば、即効性が期待できる処方もあります。

 即効性が期待できる代表的な処方の1つに「葛根湯」(かっこんとう)があります。一般の薬店では「風邪に葛根湯」というキャッチフレーズで販売されており、日本人には馴染みの深い漢方薬ですが、その使い方については正しく理解されていません。
今回は、「風邪の季節の葛根湯」について解説いたします。
 葛根湯の出展は西暦200〜205年 張仲景によって著された「傷寒論」にその源流があり、そこには以下のように書かれています。
《汗がなく、後背部がこわばり、悪寒、悪風のあるとき葛根湯これをつかさどる》
短い文章の中に葛根湯を応用するための大原則がしたためられています。
2000年くらい前のことですから、風邪という病名はなく《 》を目標にして葛根湯を使ったようです。

肩こりは、“後背部のこわばり”に相当しますので葛根湯が効を奏します。

 葛根湯の中味をみてみますと、葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、桂枝(けいし)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)、芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)の7種の生薬がはいっています。

重要なのはなんといっても葛根です。葛根は性質の穏やかな生薬で、下痢の治療にも使われますが、ここでは熱を冷まし筋肉のこわばりをとる働きをします。

麻黄、桂枝は発熱を促進し、体の表面部にある病邪を汗とともに発散させます。
同時に芍薬で発熱しすぎになることを防ぎ、生姜、甘草、大棗で消化器の働きを高めます。

 この様に7つの生薬があいまって効果を発揮しますが、先ず発汗を促進するために、煎じ薬は熱いうちにのみ、服用後に重ね着し、熱いお粥を食べるといっそう効果があがります。
1回の服用で汗が出て病気が退散したならば、続けて服用してはいけません。
もし、効果がなければ、そのあと2,3回は服用してもかまいません。


感冒の初期症状で、「無汗で、悪寒と後背部のこわばり」はいつやってくるかわかりません。だから、いつこういう症状におそわれても心配がないように、葛根湯は携帯していなくてはなりません。

もちろん生薬を煎じた液を暖かいうちに飲むのがいちばん効きますが、煎じ薬を携帯するのは少々無理があります。

市販のエキス剤だと持ち運びには便利です。
上記のような症状が出たとき、ぬるま湯に溶かして、少々多目の量をいっきに飲んでください。10〜20分後に効き目が実感できます。

 これでみなさん少しは葛根湯の使い方をマスターしていただけたかと思います。
進行してしまった風邪に何日も葛根湯を飲んでいる人がいますが、これは正しい使い方ではないことを理解していただけましたでしょうか。

 この様に漢方の使い方は誤解されているものがたくさんあります。
基本的なところから解説するには難解な部分が多いので、今後日常応用できるものからやさしく説明してゆきたいと思います。

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