ブロッコリー


  ブロッコリーは、2千年くらい前にローマで食べられていた歴史のある野菜ですが、日本に入ってきたのは明治時代で、本格的に栽培されるようになったのは第2次世界大戦のあとです。今では、生活の洋風化と栄養価の高いことで、日本人の食卓ではすっかりおなじみの野菜となりました。

野生キャベツの栽培変種で、アブラナ科です。カリフラワーはブロッコリーをさらに改良したもので、数年前まで店先でよく見かけましたが、栄養価の点で優位なブロッコリーに押され、近頃めっきり見かけられなくなりました。最近輸入物が増え、年がら年中出回っていますが、品質の良いものが出回るのは十一月から三月で、ブロッコリーは霜の季節の野菜です。冬場に冷蔵庫に入れておいても3~4日くらいで全体が黄ばみ、花が咲いてきます。こうなるとずいぶん味が落ちてしまうので、新鮮さが第一です。たまに花蕾が紫色のものを見かけますが、霜を受けたせいで、ゆがくときれいな緑色に戻ります。

栄養的には、ビタミンCが豊富なことで注目されています。その含量はレモンの2倍で、100ミリグラム中、生で120ミリグラム、茹でても54ミリグラムと、1日の所要量が簡単にとれてしまいます。普通は加熱して食べますが、料理法によってビタミンCの損失率が違います。塩を入れた熱湯で5分ゆでた時、46%、塩と小麦粉少々を加えてゆがいた時、33%、蒸した時、6%と蒸すことによってビタミンCの損失はぐんと少なくなります。どちらにしても加熱時間を短くすると、ビタミンCの損失は小さくなります。また、ビタミンEも豊富に含まれていますので、Cとの相乗効果でしみやしわを防ぎ、若々しい肌を保つのに役立ちます。そのほかビタミンCは免疫力を高めストレスへの抵抗力をつけます。

また、抗癌作用があることで注目されている「スルフォラファン」はアブラナ科の野菜だけに含まれています。アブラナ科の野菜には、わたし達の食卓を豊かにしてくれるキャベツ、大根、蕪、白菜などたくさんありますが、スルフォラファンはブロッコリーの中に最も多く含まれています。

ゆがいても色のきれいなことで、お弁当の素材にはもってこいですが、その他様々な料理に使用されています。茎は料理にあわせ色々な切り方をして、揚げ物、スープの具、炒め物、酢味噌和えに、花蕾はスープやシチューの実に、サラダ、掻き揚げ、グラタンとなんにでも使えます。今年は暖冬のため、ブロッコリーの生長が早く値段も暴落しましたが、こんな時こそしっかり食べてほしい食材です。