イチゴ

私の誕生日は524日。今も昔も変わりません。子供の頃、この日には町中の八百屋さんの店先にイチゴが山積みされていました。木の箱に入ったイチゴは「朝取り」と手書きされ、目にも鮮やかな色で子供たちを呼んでいます。小学校5年生のときに、母親に頼んで誕生日プレゼントを現金でもらい、そのお金で買えるだけのイチゴを買いました。子供には大きすぎる紙袋にイチゴがいっぱい。言葉に出せない満足感とともにイチゴの袋を自分の部屋に持って入り、独りほくそえんで食べた記憶があります。私とイチゴの甘酸っぱい関係です。
それから何年たったでしょう。私の誕生日は変わりませんが、イチゴの旬はすっかり変わってしまいました。出荷ピークを迎えるのはイチゴケーキの売り上げと重なるクリスマスだそうで、栽培方法も露地栽培からハウス栽培になり、自然の中ではありえないイチゴの旬が人工的につくられてしまいました。本来5月が旬であるイチゴは、太陽の光をいっぱいあびたこの時期のものが一番おいしいと考えるのは素人だそうで、栽培農家の人いわく、「時間をかけてゆっくり成長する冬のイチゴの方がおいしい」そうです。

 18世紀にオランダで、南アメリカ原産のチリ種に北アメリカ原産のバージニア種を交配して育成されたのが現在のイチゴのルーツです。日本には江戸末期にオランダから伝えられたので、当時はオランダイチゴと呼ばれていました。様々な品種改良が試みられ、1980年代の半ばに登場した「女峰(にょほう)」と「豊の香(とよのか)」は圧倒的人気をはくし、この2品種で10年以上にわたり全国の生産量の90%を占めました。
ここ数年は、新品種のラッシュとなり、店頭には見かけない形のものや、聞きなれない名前が並んでいます。最近のイチゴの品種を列挙してみますと:「とちおとめ」(栃木県生まれ。平成12年度には、とよのかを抜いて全国1位)、「章姫(あきひめ)」(最近大阪でも見られるようになりましたが、誕生地は静岡県。細長い三角形)、「さちのか」(福岡県生まれでビタミンCの含有量はイチゴの中ではトップクラス)、「さがほのか」(佐賀県産。果肉が硬く甘みが強い)、「濃姫(のうひめ)」(岐阜県生まれ)、「甘王(あまおう)」(大粒で味が濃い)、「ももいちご」(徳島県でのみ栽培、大きくて甘くてジューシー)。このほかにも、あすかルビー、とよのか、女峰など、いちごの品種の多さには驚かされます。
栄養面では、ビタミンCが豊富に含まれていることが良く知られています。可食部100g中に80mgのビタミンCが含まれており、人が1日に必要な50mgは、5~6粒食べるだけで必要量を満たすことが出来ます。いちご以外の食材でビタミンCの含量の高いものもありますが、人気や手軽さから考えると、ビタミンCの補給源にはいちごが最適でしょう。最近の研究で、いちごに更なる有効成分が含まれていることがわかりました。活性酸素の働きを抑制するアントシアニン、抗癌作用が認められているエラグ酸です。 
3 月も今頃の時期になると、少々形は悪いけれどお安いものが出回ってきます。いちご酒を作ってみてはいかがでしょう?引き上げた実を使ってジャムも作れます。いちご酒のつくり方:〈材料〉いちご1Kg、ホワイトリカー1.8L、糖分200g〈つくり方〉いちごは洗ってヘタをとり、水気をふいてすべての材料と一緒に漬け込む。2ヵ月後、実を引き上げて濾したら出来上がり。レモンの輪切りを好みに合わせて加えても良ろしいでしょう。