里芋(さといも)


1年中出回っていますが旬は8月の終わりから9月です。稲作以前は里芋が主食だったと考えられる習慣がいろんな地域でのこっています。日本人にとっても、インドネシア、ジャワ島などの太平洋の島々の先住民にとっても重要な食料だったのです。

奈良時代にはすでに栽培されていたことが文献に残っており、山芋に対して里に植えられていた芋、というのでこの名前がつけられました。サツマイモやジャガイモの渡来以前は重要な飢饉食だったようです。

歴史の古い野菜だけに、日本各地のお祭りや行事食と結びついて、日本人の生活からは切り離せない食材です。
親芋に小芋、小芋に孫芋ができることから、子孫繁栄のおめでたい食べ物とされています。里芋の中でも「ヤツガシラ」は、世間に出たら8人の頭くらいにはなるようにとの意味がこめられているそうです。

西日本では正月の料理やお供え物に使われ、中秋の名月のお飾りにも里芋は欠かせません。東北地方で今でもこの時期よく行われる「芋煮会」とは、新の里芋が出始めるころ、気のあったもの同士で川原に出かけ、大鍋に里芋、こんにゃく、ねぎ、牛肉などを放り込んでグツグツ煮込んでみんなでつつきあうもので、私たちの生活と里芋が深く結びついていることを物語っています。私の職場にも東北出身者が何人かいて、紀ノ川の川原で関西風芋煮会をして親睦を深めています。いろんな食べ物が収穫できるこの季節、野外で採れたてのやさいの入った大鍋をつつくのは栄養的には最高で、また気分のリフレッシュにもなります。里芋の葉柄であるずいきも厚揚げなどと煮込むとおいしいものです。

里芋を使った簡単、おいしい一品を紹介します。
「里芋のから揚げ」外側はカリッとして中はホクホク。子供から大人まで人気メニューです。
作り方は簡単。皮をむいた里芋にから揚げ粉をまぶして揚げるだけ。煮っ転がしの残りがあればそれでもいいのですが、わざわざ煮てから揚げる必要はありません。ゆでただけの里芋でも生の里芋でも、それはそれなりにおいしいのです。柔らかいのがお好きならゆでた里芋で、固目が好みなら生の里芋でお試し下さい。