椎茸(しいたけ)


戦後、日本中が食糧不足、栄養不良に苦しんでいた頃、しいたけは繊維ばかりで栄養のないものと軽んじられていましたが、現代のように飽食の時代になって、成人病に蝕まれている人が増えてくると、一躍健康野菜の筆頭に揚げられ、しいたけの効用については多くの人の知るところとなりました。時代の流れとともに重要視される食材も変わってゆきます。
栽培されるようになったのは400年位前で、そのころの栽培方法は、山で自然に発生したしいたけの胞子が風に乗って飛来し、あらかじめ、なた目を入れた原木に自然に付着するのを待つ、といった気のながいやり方でした。明治に入って科学的に研究が進められ、昭和10年にしいたけ菌の純粋培養に成功し、現代のようにほだ木に菌を植え付けるしいたけ栽培が行われるようになりました。そのおかげで今では、年間を通じてしいたけは、安定して供給されています。

露地物のしいたけが発生する適温は1015度で、春と秋に発生します。私も三重県の山の中で春しいたけを栽培していますが、暦を知っているかのように毎年春のお彼岸にいっせいに出てきて、5月以降になるとほとんど発生しません。
しいたけの菌を植え付けるのはコナラ、カシなどの枯れ木ですが、間伐材として多くでる杉の木が使えたら、廃材の利用として有効だと思うのですが、杉の木ではダメなのです。
しいたけの品質の良し悪しは、湿度や温度と関係が深く、傘の開き方の程度で
「どんこ」と「こうしん」に分けられます。低温で生育したものは発育が緩慢なため、肉厚で弾力のあるどんこになり、さらに低温で湿度が高いと、表面に亀裂の入った「天白どんこ(花どんこ)」と呼ばれる最上級品となります。逆に高温多湿では、しいたけの生育が早くなり、大型で肉の薄い「こうしん」となり、品質は劣ります。ご存知でしょうが、しいたけの効用について箇条書きにしてみますと ① コレステロール低下作用:成分のレチシンによる働き
   ② 血圧降下作用:毎日続けることで効果あり
③ 
抗ウイルス効果:インフルエンザを抑制する働きがあります
④ 
抗腫瘍効果:体の免疫効果を高めて、抗癌作用を発揮します
食物繊維の効能:動脈硬化・腸内整腸など多くの効能があります
ビタミンDの効能:骨粗しょう症予防に効果あり
これ以外にしいたけが優れている点は、200度の高温で処理しても有効成分が変質しないという事と、一緒に調理したほかの食品のビタミンB類を破壊せずに残すというすばらしい働きがあることです。