ゆり根

 「百合」の字は百合の根の燐片が多く重なっているところから当てられたといわれます。また、風に揺れる姿から「ユリ」と呼ばれるとも言われています。十月ころに収穫したものを冷暗所に保存しておき、順次出荷していきますが、十一月から二月頃のものが最も味が良いとされます。保存は新聞紙に包んで、風通しの良いところにおいておくとかなり長持ちします。

 古くから強壮、健胃、咳止めなどの薬効があるとされ、江戸時代の中ごろから盛んに栽培されるようになり、長崎の出島からはオランダに輸出されていました。西欧ではもっぱら観賞用で食べる習慣はないようです。日本でも、京料理を中心に関西では吸い物や茶碗蒸し、炊き合わせなどに良く使われますが、関東ではあまり食されないようです。

 日本国内の山野で、ユリはいたるところに自生していますが、さまざまな種類があり、食用として栽培されているのはヤマユリ、コオニユリ、オニユリです。鑑賞用に栽培されているユリの根は苦味があって食用には適しません。

 昨年コオニユリと思われるユリの苗を川原から採ってきて植木鉢で栽培したところ、オレンジ色で黒い斑点のある立派な花が咲きました。花の色と形を植物図鑑で調べても間違いなく食用の‘ユリ’だったのですが、十一月に掘り起こして出てきた百合根を料理してみたら、苦くて苦くてとても食べられる代物ではなかったのです。土の中から出てきた百合根は店先に並んでいるものとなんら遜色はないのに食べられないのが不思議です。機会があったら植物の専門家に尋ねてみようと思っています。