野菜の表示方法の見分け方


どんな野菜が安全なのか?・・・・表示方法の見分け方

最近いろんなところで、食品表示のうそやごまかしが摘発されている。農産物を買うため、近くのスーパーに行くと、「有機」とか、「無農薬」とか様々な表示がついている。外観はほとんど同じなのに、無農薬と書いてあるホーレンソウは一束128円。表示がないものは98円。あなたはどちらを選びますか?。

まず表①を見て下さい。手放しで信用できるのは「有機」と「オーガニック」の表示だけ。
この表示のあるものに対してはJASマークがついているはず。JASマークは、国が認めた機関で、栽培基準や運搬方法など厳しい基準をクリアしたものにしか与えられないし、マークの発行枚数の管理も徹底して行われているのでもっとも信頼できるマークです。(下記参照)

表①栽培方法の見分け方        (新食品表示ハンドブック  垣田達哉著より)

表示 イメージ 定義 問題点
有機

有機野菜

オーガニック

農薬と化学肥料を使っていないので、安全で健康によい。 化学合成農薬、化学肥料とも一定期間(果樹などは収穫前3年以上、それ以外は栽培を開始する2年前以上)使用できない。天然系農薬や天然系肥料(有機肥料)および天然系の土壌改良資材は使用が許されている。 化学肥料を使っているのに有機と表示するなど、本当に有機なのかあやしいものもある。JASマークを必ず確認することが必要。また、価格が高く、ものによっては普通の農作物の2~3倍のものもある。
無農薬

無農薬野菜

農薬は一切使わない。有機との違いがわからない。 化学合成農薬、天然系農薬も使うことはできない。ただし、使用できないのは栽培している期間だけ。 野菜のように栽培期間(苗を植えてから収穫するまで)が数ヵ月という短い作物では、2~3ヵ月サイクルで「通常の農薬量→無農薬→通常の農薬量」を繰り返すことができる。この場合、土壌にはかなりの農薬が残留する。もちろん収穫される作物にも吸収される。また、化学肥料はどれだけ使っても構わない。使っている場合は、ほとんど守られていない。
減農薬

減農薬野菜

農薬を減らしているが、どのくらい減らしているかは解らない。 栽培期間中に、化学合成農薬の使用回数(使用量は関係ない)を、通常の半分以下に減らしている。 統一された基準がなく、地域や農家によって差が大きい。また、あくまでガイドラインで任意表示のため、法的拘束力がなく、嘘つき表示であっても取り締まることはできない。
減化学肥料

減化学肥料野菜

化学肥料を減らしているが、どのくらい減らしているかは謎。 栽培期間中に、化学肥料の使用量(使用回数は関係ない)を、通常の半分以下に減らしている。
有機無農薬 有機栽培と同じか? 法律でもガイドラインでも定められていない用語。定義なし。 本来、有機かつ天然系農薬も使っていないという意味だが、実際に天然系農薬等も使っているかどうかは不明。
有機100%肥料 天然の肥料を使っている。農薬が使われているかは解らない。 どのくらい農薬を減らしているのか、どのくらい安全なのかわからない。本来は「減農薬無化学肥料」と表示すべき。消費者を混乱させる表示。
減農薬全有機肥料栽培 農薬を減らしている。肥料は天然のものだけを使っている。
清浄野菜 きれいな野菜? 生で食べられることが条件で、人肥を使わず、化学肥料を使った野菜。 清浄という言葉から「農薬や化学肥料に汚染されていない、クリーン」なイメージを持ちそう。惑わされる恐れあり。
低農薬

省農薬

農薬は少ないが、どのくらい少ないかは謎。 法律でもガイドラインでも定められていない用語。定義なし。 ガイドラインの「減農薬」と同じような感覚を持たせる。混乱させる表示。
完全無農薬 農薬は使っていない。化学肥料はどのくらい使っているのかわからない。 ガイドラインの「無農薬」よりよい感覚を持たせる。混乱させる表示。
健康野菜

安心野菜

ナチュラル

自然、天然

農薬、化学肥料をできるだけおさえ、自然に近い状態で栽培? 単なるキャッチフレーズ。特別な基準はない。 単なるキャッチフレーズでも、消費者は付加価値がある農作物と思い込んでしまう。

減農薬・減農薬野菜以下は、きっちりした規格のないいいかげんな表示

 あるTVの番組で「スーパーで無農薬のシールを貼ったほうれん草と何も表示をしないホウレン草を並べて消費者がどちらを買うかを実験する」企画を行った。結果は予想通り、無農薬のシールを貼ったほうれん草が128円と、シールのないホウレン草の98円より高価であるにもかかわらず、2時間で20束を完売した。その間98円のホウレン草は9束しか売れなかった。

 しかし、問題は「無農薬」というシールだけで、「有機」と同じように安全性が高いと信じて買ってしまうことだ。農産物の表示は任意であることをいいことに、売り上げを伸ばすためいい加減は表示をしていることが多い。

「低農薬」「省農薬」といった、何ら基準のない表現を使うのは良心的な表示とは言えないが、そういうものにまどわされることなく、JASマークのついた「有機」農産物を選択するかしこい消費者にならないと、食卓の安全は守れないかも知れない。