かぼちゃ


かぼちゃは、ポルトガル人によって豊後(大分県)の戦国大名、大友宗麟に献上されたのが日本伝来の最初です。17世紀には九州一円で栽培されるようになり、その後全国的に広がりました。いくつもの名前を持つ野菜で、南蛮人がもたらした瓜という意味で「なんばんうり」、中国からきた野菜と思い込んだためか、「なんきん」 「唐茄子」、東南アジアのカンボジア由来の野菜ということで「かぼちゃ」などと、さまざまに呼ばれていました。この時代に伝わったかぼちゃは、今では「日本かぼちゃ」と呼ばれ、近年主流となった「西洋かぼちゃ」とは種類が違います。

かぼちゃは収穫してすぐに食べず、熟成が必要です。収穫後風通しの良い日陰に並べ乾燥し、その後冷暗所に移して保存します。1~2ヶ月くらい置いたものが一番おいしいときで、その後かぼちゃの中の糖質が徐々に分解して水と炭酸ガスになって、水っぽい水かぼちゃとなります。おいしいかぼちゃの見分け方として、へたが乾きコルク状になったもので、皮が硬く、縦にひびがはいり、大きさのわりに重いものほど良品です。
かぼちゃは、和風、洋風、中華のいずれの料理にも合う数少ない野菜の一つです。日本料理では煮物が一般的で、小豆と炊き合わせた、いとこ煮、鶏肉やインゲンとの炊き合わせ、種を取って詰め物をして蒸す、といった料理法があります。また揚げ物や、コロッケの材料、かぼちゃのポタージュなども手軽でおいしいメニューです。生でも食べられるので、細く切って刺身の妻にしたり、スライスしてサラダにしてもおいしくいただけます。日本かぼちゃの場合は水分が多く、ねっとりとした味わいが身上なので、薄味の煮汁でじっくりと煮含めるとおいしい。西洋かぼちゃなら牛乳で煮るのも目先がかわっています。牛乳でできた膜が紙蓋の役目をしてくれるため全体に均一に火がとおりふっくら仕上がります。

かぼちゃの種には亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛欠乏は味覚異常や皮膚障害を引き起こすだけでなく、精子の合成能が低下し男性の不妊症の原因にもなります。種のしっかりしたかぼちゃに出会ったなら、油で炒って食べてみてください。

最近店頭でもよく見かけるようになったズッキーニはキュウリではなくかぼちゃの仲間です。ご存知でしたか?