朝食は食べるべきか、食べざるべきか?


よくいわれることをまとめると3項目くらいにわけられます。

  1. 朝食をたべると、脳と体が効果的に働いて仕事や勉強に集中できる。
  2. 朝食をとらないと、肥満になりやすく糖尿病や高脂血症の引き金になる。
  3. 早寝早起きの習慣がつき、1日の生活リズムができる。

まず①の効果についてその真意の程をさぐってみましょう。

筑波大の鈴木教授が、①の効果を実証するべく大学内で学生を対象にして実験を行った。
それによると「大学の授業開始前の八時から三十分間、恒例化している朝ゼミの前か後に・ゆで玉子・を一個朝食として食べるようにしてその効果を、二十名程の研究室所属の大学院生で試してみたが、発表のしかたや内容がレベルアップすることがなく、一年もたたぬうちに、当番制であった玉子ゆで作業も中断され、そのまま消失していった。

ゆで玉子を食べなくなっても、ゼミの内容は悪化することもなかった。そしてもう一つ明らかになったことは、頭の悪い学生集団は玉子ゆで作業という単純なことさえ、継続できないということであった。

結論。「頭の悪い者は朝食を食べても、よくならない。したがって、朝食を食べないから頭が悪くなったのではない。」ということである。

朝食を食べると頭が良くなるという効果は期待うすのようです。しかし、朝食をぬくと、午前中朝礼や体育の授業がある日などは、エネルギー不足で倒れたり・・・・・という事はよくあるようです。また、肉体労働をする人にとって、朝食をぬくと、とても昼まではもちません。

     

次に②の効果ですが、たしかに一日三食をバランス良くとっている人にとっては、朝食をとる方が肥満になりにくいと言えるでしょうが、この毎日「三食バランス良く」というのが結構むつかしいのです。

つきあいで誘われついつい夕食が、カロリーオーバーになったり外食が続き、脂質とでんぷん質ばかりの献立に偏ったりということになると、いくらきちんと朝食をとっていても肥満になってしまいます。

かえって、朝食をとらないといけないと思い込み無理にでも食べることで、さらに肥満に拍車がかかることもあるのでご用心。

今年七十五歳になる私の父の例ですが、私が知る子供の頃から朝食はとっていません。昼・夕の一日二食ですが、若い頃からの体重を維持していますし、今も毎日仕事に従事しており、時々早朝からやはり朝食ぬきでゴルフに出かけます。朝食ぬきですが健康で体に特別異常はありません。

次に③の効果ですが、確かに朝食をとることで一日に生活リズムができて、規則正しい生活が送れます。
朝遅く起きて、ゆっくり新聞などを読んでいるとあっという間に昼がきて、朝食兼用の食事をすませてテレビの前に座るとすぐに夕食の時間。一日何をしていたのかと思うくらい時間のたつのが早く一日がむなしく過ぎていってしまう経験は誰しも持っているのではないでしょうか。

朝食を食べると、食事誘発性の生体熱産生反応がおこり、体温が上昇します。かむことにより、脳の中に血液を送り込み、脳の活動をうながします。次に消化吸収された糖質・脂質とたんぱく質は細胞にとりこまれてエネルギーに分解されたり、体のたんぱく質に合成されていきます。

朝食のもたらすこの二段階の作用で、脳と体がウオーミングアップし、その日の勉学や、仕事に対するエネルギーがわいてきます。

   

以上のことから考えると、朝食を食べるべきか否かの問題は人によって異なり同じ人でもその日のスケジュールによって答えは違います。

午前中に重い仕事がある時は、しっかり食べるべきでしょうし、前夜食べ過ぎてエネルギー過多になっている時は、野菜ジュースとおむすび一個という軽いものでも十分だと思います。

朝食は①②③の理由から、食べなければいけないと思い込んでいる人が多いです。一日三食のバランスを考え、早起きの習慣をつけて朝食をとるのが理想でしょうが、なかなか理想と現実は合致しないものです。

臨機応変であなたの体がいちばん喜ぶ方を選択するのが良策でしょう。