アサリ


アサリの美味しい季節は、4~5月と10~11月です。子供のころ、春休みから5月の連休にかけてよく潮干狩りに出かけたものです。まだまだ水は冷たい季節ですが、アサリを掘り始めると夢中になってずぶぬれになったものです。夏場は産卵期に当たるため毒性が強くなり、食中毒を起こしやすいのでしっかり加熱調理することが大切です。

食料とされてきた歴史は古く、縄文時代にさかのぼります。あちこちで発掘されている遺跡から発見される貝塚の中で一番多いものがアサリの貝殻だそうです。成分の特徴は、カルシウム、鉄、リン、ビタミンB2,B12の含有量が高いことです。最近注目されている。味覚や臭覚を正常に保つ亜鉛も豊富に含まれています。

特にビタミンB12は葉酸と協力して赤血球の産生に働きます。不足すると新しい血液が出来にくくなると同時に消化不良や下痢の症状がおき、中枢神経系にも障害が生じてきます。なんといっても、ビタミンB12は体内では合成できないので食品から摂らなければなりません。ところがこの成分を含有する食材が少なく(レバー・シジミなどに含まれていますが)、そのためアサリは貴重な食材です。また、アミノ酸の1種、タウリンも見逃せません。タウリンは、血液中の余分なコレステロールを排除するため、血液の粘度を下げ、動脈硬化を予防し、肝臓の解毒機能を助け肝機能が正常に働くよう協力します。血圧が高い・中性脂肪が気になる・血糖値が高い・肝機能が衰えてきている人にお勧めです。
貝は生きていることが絶対条件です。アサリは塩水(水1リットルに対し塩20g)に浸け、口を開かないのは死んでいます。貝殻は意外に汚れているものです。ボウルに入れ塩を振り、殻をこすり合わせて洗いましょう。汁物をつくるとき、身にうまみを残したいときは煮立った湯に、汁にうまみを出したいときは水から入れて加熱します。
最近このアサリが日本の海から激減しています。原因は地球温暖化と水質汚染。あちこちの水質検査施設では、汚染の程度を測定するためにアサリを使っています。即ち汚染された水の中にアサリを入れ、生存率を計算して水質の汚染度を測定するもので、それほどアサリは水質汚染に敏感な生き物です。潮干狩りに行きたくても、昔の海岸線は、ごみだめのようになっていて、水は家庭排水のため泡立っています。こんなところでとてもアサリが生息できるとは考えられません。店頭に並んでいるアサリはたいていが北朝鮮産。北朝鮮と日本の国交が怪しくなってきたら、アサリ好きの人や、深川丼(アサリを炊き込んだご飯)屋さんが先ず悲鳴を上げるに違いありません。
近場で潮干狩り楽しめる環境を取り戻したいものです。