蓮根(レンコン)


レンコンはスイレン科、多年生の水生植物「ハス」の地下茎で、数千年前から世界各地で栽培されています。そのため、ハスにまつわるエピソードや物語はあちこちにたくさん残っています。千葉県検見川で見つかった二千年前のハスの種は、大賀博士の手でよみがえり、美しい花を咲かせたという話を覚えている人もあるかと思います。ハスはこのように生命力が強く種子の数が多いことから、民族の繁栄を築き、生命力を生み出す象徴とされています
日本では、穴が開いているので見通しが利くということに因み、正月やその他の祝い料理に使われる縁起野菜とされています。中国ではレンコンの根茎だけでなく種子や節まで、料理に使うだけではなく薬としても使います。根の部分にはビタミンCが豊富で、ミカンの1.5倍、大根の3.7倍に相当する量が含まれており、レンコン100gを食べると1日に必要な量がまかなえます。また野菜としては珍しく、貧血を予防し、肝臓の働きを助けるビタミンB12の含量が高く、ミネラル成分の亜鉛、銅、鉄を多く含んでいます。

レンコンのさくさくした食感を生かした料理として、てんぷら、酢バス、五目ずしの具、煮物、キンピラなどがおなじみです。あくが強く変色しやすいので切ったらすぐに酢水につけましょう。鉄製の鍋で調理すると、酸化して黒くなってしまうので厳禁です。
日本ではあまり使いませんが、中国では種子を「蓮子:レンシ」と呼び、さまざまな料理や薬として使われています。生命力を養い精神を安定させる作用があるとされており、日本でも最近デパートのエスニック食材などを扱っているコーナーなどでよく見かけます。
湯がいて柔らかくしておくと栗のような味と食感で、なににでもつかえて便利です。一番一般的なのはおかゆの中に入れる「蓮子粥」ですが、ひろうすの中に入れたり、銀杏の代わりに茶碗蒸しの中に入れてもおつな味です。中国や台湾旅行のお土産に蓮子の砂糖漬けをもらって知っている人もいるでしょう。蓮の葉は食用には使われませんが、解熱や吐き気を抑える薬用として、またもち米の蒸し物などの料理に使われます。
こんな風にレンコンは、私たちの日常の暮らしの中にすっかり溶け込んでいます。今から冬場にかけてレンコンの季節です。大阪には門真:かどまという産地が控えていますから大いにレンコン料理を楽しんで下さい。